フローレンスモデルについてのメモ。
先日の「ガイアの夜明け」で東京都内で病児保育に取り組むNPO法人「フローレンス」が取り上げられた。
「起業家はいま・・・ 〜ライブドアショック後のベンチャー像〜 」
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber/preview070522.htmlNPO法人「フローレンス」
http://www.florence.or.jp/
フローレンスは、ETICとか「社会企業家」とか、まぁそこらへんに興味があったり近しい学生や若者にはそこそこ有名なNPO法人で、私もフローレンス代表者の駒崎弘樹氏のブログをたまにチェックしている。
病児保育のNPO法人フローレンスを運営している駒崎弘樹のblog
http://komazaki.seesaa.net/
フローレンスのビジネスモデルは、サイトをざっと見る限り、簡易な民間保険という感じである。
http://www.florence.or.jp/user/menu/
ただし民間保険には、当然、逆選択、モラルハザード(これは病児保育ではあまりないか)、クリームスキミングの問題があり、実際にフローレンスも、「ぜんそくなどの既往症がある場合で、吸引やカテーテルなど特別な医療行為が必要な場合」は入会を断っており、ビジネスを存続させるために加入者の選別(クリームスキミング)を行わざるを得ないようだ。(追記:これは、ただ単に医療専門職の資格を持っている職員がいないと法的にこれらの児童のケアを行えないから、というほうが正確であり、クリームスキミングの例としては不適切だったかも。ただし、値段的にはそこまで安くはないから、そこそこのキャリア女性でないと加入できないかも。非熟練の母子家庭の母親などには手は届かないのではないか。そういう意味では民間保険的だ)これは純粋な市場で勝負しているのだから仕方ない。純粋な市場ではなくてもこういうことは往々にして生じるわけだし。
それにしても、かなり緩い基準であるような気もする。詳しいことはよくわからないが、おそらく病弱な子どもの場合には、母親か父親が仕事をやめて育児に専念するほうがことになるため、フローレンスのような病児保育への需要はあまりないだろうし、たとえ利用回数が多い乳幼児が入会しても採算が何とか取れるような工夫をしているのかもしれない。
ところで、下記の山形氏による率直過ぎるエスピン・アンデルセンの福祉国家本の紹介でも述べられているように、
「福祉、家族、セックス」
http://cruel.org/sight/sight05.html
「その(注:NGOやNPOの)役割が周辺的なものにとどまらないとすれば、それは国家からの補助を受けて、半公共的な福祉供給エージェンシーとなっているからである」
(原著のどの部分かは見つけることができず)
なわけであるが、それは駒崎氏も自覚しているようで、下記のエントリでは、介護保険なども参照しながら、病児保育バウチャーや家族保険について言及している。墨田区の先駆的な取組みの紹介もある。
【お仕事で書いた文章】8.問題解決の次なるフェーズ 〜市場化による社会問題解決戦略〜
http://komazaki.seesaa.net/article/38789704.html#more【日記】友達のぼやきと社会に横たわる問題の距離
http://komazaki.seesaa.net/article/41740036.html#more
時間がないのでそろそろこの辺で。ただ、税源涵養(あるいは保険料でもよいが。税か保険かの論争はおいておくとして)をしっかりしないと、高齢者・障害者・子どもの間での不幸なケア予算争奪戦がおきかねないことには注意が必要だ。国も市町村も国民も、行革や歳出削減への圧力は強いけど、税源涵養の議論はまだまだ嫌いなようなので。
実は本間正明氏やそのお弟子さんの跡田真澄氏といった「小さな政府」志向バリバリの経済学者は、一方でNPOとかを称揚しており、ちまたのNPO本や社会企業家本にも「もう政府では無理なので、これからは社会企業家の時代だ!!」みたいな本も多くて、なんだかなぁ、と思っていたのだが、これからどうなっていくのかは興味深い。アメリカのように、NPO活動やNPOへの税制優遇は進んでいるけれど、普遍的な医療保障や社会保障は発達しておらずいろんな意味で虫食い状態という道を選ぶのか、それとももうちょっと違った道を選ぶのか。
そういえば、国の話に飛ぶけど、今日の日経で土居氏のこれ↓の話がちょっと掲載されていた。
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/siryou/k11t6kai1.pdf
以上、ほんとにつまらないただのメモですみません。もうちょっと上手くまとめられるかと思ったのですが。。。