研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

24時間介護(=「極端な条件」?)保障を厚労省はどう考えているのか

和泉徹彦「介護保険改革ー介護保険制度と障害者福祉の統合を巡ってー」
城戸・駒村編著『社会保障の新たな制度設計 セーフティ・ネットからスプリング・ボードへ』第13章

障害者自立支援法案の国会提出を受けて、厚生労働省前で抗議活動を行う障害当事者団体の姿はテレビ・新聞等のマスメディアでも大きくとりあげられた。しかし、24時間介護が必要な障害者がインタビューに答えている内容には違和感があった。すべての障害者が24時間介護を必要としているわけではないし、日常生活では支援を受けなくても自立生活を送っている障害者は大勢いる。極端な条件を持っている人が前面に出て講義しても、自立支援法の何を問題にしているかがわかりづらい。厚生労働省が自立支援法を説明するときに、極端な条件を持っている人には低額で包括的なサービス給付を適応するとしている点についてマスメディアは紹介すらしていない。租税負担のままでは負担するばかりの他の国民から共感をえることも難しい。障害当時者の内側で議論や主張が完結してしまい、社会参加モデルを標榜しているはずの人たちまでが国民全体の連帯を形成するという視点を置き忘れているかのような印象を受ける。

(p361 太文字はdojinによる。)

うーむ。

和泉徹彦
http://dcu.sakura.ne.jp/cuc/user/view.php?id=3&course=1


一方、

今日はDPIと在障会の会議が板橋の都立スポーツセンターで。このたびの支援法でなくなった「見守り」の文言にこだわる新田さんが独自調査をしてもってきた。24時間介護が必要だけど、医療依存的ではないために判定は低くなるグループである。医学的根拠で振り分ける審査方法、公正な評価の根拠となるとどうしてもADLとEBMになる。本人のニーズには配慮なし。だが「全身性」や「見守り」という曖昧な言葉が障害者の生活にゆとりをもたらしてきたのである。機械でもなく死人でもない生き物である以上、その人の生活には必要な幅というものがある。それをニーズと呼ぶのなら、その判定はものさしで図るようにできるものではない。結局、私たちがずっと考えてきたように当事者側で新しい指標を提示できなければならないということになった。しかし社会が承認できるような理屈でなければ通らないというのも正しいのだ。原理的には、その人が自分の生活に絶対に必要だと思うことには世間の承認などいらないのである。だから、同じ土俵に上らずにこれが正しいのだと言い張るという新田さんのこれまでの主張ももちろん正しい。だが、あえて、なのか。それとも・・。

http://d.hatena.ne.jp/ajisun/20060509

だって。ここらへん、今何が起こっているかなんだかよくわからない人が多いのではないだろうか。これは私の怠慢のせいもあるのだが、ajisunさん、暇があったら、もう少し詳しく説明してください。もしくはもっと詳しい情報が手に入るサイトはあるのだろうか?

ちなみに基礎知識として、重度障害者の扱いとして、厚生労働省の自立支援法の説明資料障害者自立支援法による改革〜「地域で暮らす」を当たり前に』で確認できるのは、「重度の障害者の移動支援」の箇所に

○ 移動支援については、突発的なニーズへの対応や複数の者の移動の同時支援など柔軟性のある支援を行うため、「地域生活支援事業」としてサービスを提供する。

○ 移動支援と介護を一体的に提供する必要がある一定程度以上の重度障害者については、サービス類型を創設し、個別給付でサービスを提供する。

行動援護(介護給付)
自己判断能力が制限されている者が危険等を回避するための援護(移動の場合も可)
※ 自閉症てんかん等を有する重度の知的障害者(児)又は 統合失調症等を有する重度の精神障害者であって、危険回 避ができない、自傷,異食,徘徊等の行動障害に対する援護 を必要とする者

重度訪問介護(介護給付)
現行の日常生活支援+外出時における介護
※重度の要介護状態にあって、かつ、四肢マヒのある  身体障害者

移動支援事業(地域生活支援事業)
上記以外の移動支援(具体的な支援の範囲は市町村ごとに決定)
※ 身体障害者知的障害者精神障害者、障害児であって、一定程度以上の障害の状態にある者

とあって、次の「極めて重度の障害者に対するサービスの確保」の箇所に

○ 自立支援計画に基づき、複数のサービスを適切に確保する仕組み

○ 必要なサービス提供事業者の確保・調整等を利用者が行わなくとも事業者によって行われる仕組みで、緊急のニーズに際して、その都度、支給決定を経ることなく臨機応変に対応が可能となる。

○ サービスの種類等にかかわらず、一定額の報酬を支払う仕組みとし、各種サービスの単価の設定や利用サービスの種類や量を自由に設定できる仕組みとする。

対象者のイメージ
身体:極めて重度の障害者であって専門機関が判定した者
知的:強度行動障害のある極めて重度の障害者であって専門機関が判定した者
精神:極めて重度の障害者であって専門機関が判定した者

とあるということだ。

障害者自立支援法による改革〜「地域で暮らす」を当たり前に』
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou02/index.html

上で言及、引用した部分は、http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou02/3.html
の下の方)

これだけじゃ曖昧すぎてよくわからないっす。

ちなみに、同じく厚生労働省資料の

『障害程度区分について』
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jiritsushienhou07/dl/00.ppt

では、p21の「介護サービス以外の訪問型サービスに関するニーズへの対応」で「見守り」は地域生活支援事業で行うとある。