研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

岡本全勝氏の「小さな政府論」に対するぼやき

今は内閣府で「再チャレンジ」の仕事をしている岡本氏ですが、この程度ならばぼやいても大丈夫なのでしょうか。

http://homepage3.nifty.com/zenshow/

朝日新聞7日別刷りbeの「あっと、データ」は、大学の学費負担割合の先進各国比較でした。日本は、親の負担割合が最高で、公費負担割合が下から2番目です。公費負担はGDP比でも最低、これは小中高校を含めても、先進国で最低だそうです。この点では、日本は小さな政府を実践しています。

こう書いたのは、私は「小さな政府論」に、疑問を持っているからです。もちろん、同じことをするなら、安上がりの小さな政府の方が良いです。ところが、人口あたり公務員数で比較すると、先進国の中では、日本は図抜けて少ないのです。防衛も含めていますから、軍隊の差でもないのです。「外郭団体を利用している」との指摘もありますが、それを入れたとしても、そんな大きな数でないでしょう。

私が問題にしたいのは、どの分野で日本が少ないかです。例えば公共事業は、日本が多くやっています。すると、逆にどの分野で日本は手を抜いているか、それが問題だと思うのです。

さて、初めの議論に戻すと、「日本は教育に熱心な国だ」といっています。でも、この数字を見ると、それは一部の家庭が熱心であって、国や地方団体は熱心ではないようです。年金も小さいほど、小さな政府を実現できます。でも、それが良いことでしょうか。

財政規模比較では、今の日本は、支出では中くらいの政府、国民負担では小さな政府です。これを実現している「魔術」については、いつも批判しているので、繰り返しません。(1月7日)