研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

ウィリアムソンとオストロムの講演

を片方は生で、片方はウェブ中継で見た。経済学者のウィリアムソン氏は淡々と喋り続け、心地よく脳に響き、寝不足もあり何度か眠りかけた。。。政治学者のオストロム氏はパフォーマーであった。ウィリアムソン氏の業績はいうまでもないが、オストロム氏の研究は、ゲーム理論、(ゲーム理論に基づいた)シミュレーション、統計分析、フィールドワークを駆使し、様々な分野の専門家の学際的協働の上に成り立つものらしく、とても感銘を受けた。そして彼女の経済学及び他分野に対する謙虚かつ敬意に満ちた態度も素晴らしいと思った。いずれ読んでみたい。

二人の業績については、日本を代表する2人のゲーム理論家によるものが参考になる。

ノーベル経済学賞2009(伊藤秀史氏):『週刊エコノミスト』2009年11月24日号,34-35ページ掲載記事の元原稿)
http://obata.misc.hit-u.ac.jp/~itoh/nobel09-4economist.html

エリノア・オストロム教授のノーベル経済学賞受賞の意義(岡田章氏)
http://wakame.econ.hit-u.ac.jp/~aokada/kakengame/Dr.Elinor%20Ostrom_Nobel%20Prize%20in%20Economics.pdf

池田信夫氏は

Williamsonは正解ですが、Ostromというのは知っている経済学者はほとんどいないでしょう。私は昔、彼女の本を読んで、ゲーム理論がとっくに解決した問題を延々と論じているのにあきれた。

Twitterでつぶやいていたけど、どうやらそういうわけではないみたい。

ただ、ノーベル経済学賞(正式名称はThe Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobelであり、ノーベル賞のサイトには「経済科学賞はノーベル賞ではない」と明記している)は、そろそろ名前を「ノーベル記念社会科学賞」に変更したらよいのではないか。でもそしたら選考基準が広がりすぎて困ってしまうのか。

追記:「ウィリアムソン氏の業績はいうまでもない」とかいっときながら、実はそんなにちゃんと理解しているわけないので、お勉強メモ。

伊藤秀史(2009)「組織の経済学:企業の境界」
http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/09113001_ito.pdf