サンデル講義+無印イスラエル出店計画+石井光太「飢餓浄土」
関係あるようなないような話を三つまとめてメモ。
1.サンデル講義
話題のサンデル講義、Ipodで移動中や寝る前などに聴いたり見たりしてたら、だいたい全部見た。面白かったのは、やはり後半のアリストテレスの議論やリベラル・コミュニタリアン論争あたりのところか。そして第十一回の冒頭で紹介されていたモンテスキューの以下の言葉に共感してしまうのはやはりコスモポリタンな左翼だからか。
A truly virtuous man would come to the aid of the most distant stranger as quickly as to his onw friend.
これと似たような発言を、昔どこかの左翼思想家か左翼活動家が「A truly virtuous man」を「真の左翼は」みたいな感じで言っていたのを読んだことがあるが、モンテスキューのパクリだったのかも。
でもモンテスキューの言葉はそのあとにこう続くのだという。
If men were perfectly virtuous, they wouldn't have friends.
その通りだろう。残念ながら、自分も友達と地球の裏側の人々を同じようには扱えない。ここらへんについては5年くらい前にはよくエントリで書いていたので、最後のほうに検索してメモっておこう。
このモンテスキューの言葉の出典がわからなかったのでググってみたら、同じ箇所を引用しているサンデルの論文にヒットした。やはり自身の研究を講義のネタにしてるのか、と思ってサンデルでグーグルスカラー検索すると、ネタ元っぽいのがいろいろでてきた。いまさらサンデルの大著を熟読はできないので、たまには息抜きがてらサンデルの論文を読むといいかもしれない。まずはこれか。
The procedural republic and the unencumbered self
http://www.jstor.org/pss/191382あまり質はよくないが、誰でもアクセスできるpdfファイルもある。
http://www.polsci.wvu.edu/Faculty/Michelbach/sandel.pdf
ざっと眺めたところ、結論部にはこんな記述があったのでコピペ。
In our public life, we are more entangled, but less attached, than ever before. It is as though the unencumbered self presupposed by the liberal ethic had begun to come true -less liberated than disempowered, entangled in a network of obligations and involvements unassociated with any act of will, and yet unmediated by those common identifications or expansive self-definitions that would make them tolerable. As the scale of social and political organization has become more comprehensive, the terms of our collective identity have become more fragmented, and the forms of political life have outrun the common purpose needed to sustain them.
2.無印イスラエル出店計画
mojimojiさんのブログ経由で知る。
無印良品のイスラエル出店計画
http://palestine-heiwa.org/muji/index.htmlこのページの写真とか印象的。
http://palestine-heiwa.org/muji/intro.htmlボイコット・イスラエル・キャンペーンについてはこちら
http://www.inminds.com/index.html
前のアパートの家主(といっても又借りなので学生さんだが)はパレスチナ人で、親はPLOで働いている(いた?)とかで、ボイコット・イスラエル・キャンペーンについて耳にしたことがあるが、日本でも展開されていたとは知らなかった。最近、スウェーデンにはどこにでもあるH&M(ストックホルム中心部だけで3,4店舗はある)もイスラエル進出するとかで、キャンペーンの対象になっていたような。
H&Mをボイコットするとなると、自分のお財布的に厳しい。。。無印はこっちでは高いので安心してボイコットできる。それはボイコットとはいわないが。
参考エントリ
To shoot an elephant
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100318#p1
3.石井光太「飢餓浄土」
日本軍の足跡がかなり色濃く残っている逸話が多いので、モンテスキューのいう"the most distant stranger"とはいえないが、それなりにdistant strangerな人々の話を紹介している。社会派ノンフィクションというよりも「事実は小説より奇なり」を地でいく内容だったり、ちょっとした怪談?ぽい話だったり。
取材のあいまのこぼれ話的なものも多いようだけど(それが連載のコンセプトか)、これだけで一冊の本ができそう。現在も連載は続いている。
敗残兵の森(フィリピン)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000645.html幽霊船(インドネシア)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000654.htmlそして、軍人は消えた(ミャンマー)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000656.html神隠し(ミャンマー)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000661.html二つの話(ベトナム、中国)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000665.html餌(ルワンダ)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000667.html奇形児の谷(ベトナム)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000672.htmlお守り(1) (ミャンマー)
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000675.htmlお守り(2) (コンゴ、ヨルダン))
http://mag.kawade.co.jp/kigajoudo/000678.html
(1.サンデル講義、2.無印イスラエル出店計画の)参考エントリ:
このブログも、最初は、目の前にいる友人や家族と、隣人の人々と、地球の裏側の人間と、距離が違うだけなのになぜにこうも扱いが異なってしまうのかということに関連するエントリがいくつかあった。以下、5年くらい前のエントリを備忘録的にメモ。関係ないのもまざってるかも。
世界がもし100人の村だったら
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050516#p1『イデオロギーをイデオロギー的に解釈しただけではないのか』+その後の一連の議論
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050223
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050310
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050311
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050313・『インドのメイドの話』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050301・『メモ:稲葉氏の反搾取論と伊勢崎氏のスラム論』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050224・『伊勢崎賢治氏インタビュー』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050225山形浩生のフェアトレード論ってどうよ
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050619自分が消費しているものを生産している人
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050704#p1