研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

障害者自立支援法案についての社説メモ

朝日新聞北海道新聞が、障害者自立支援法案について社説で取り上げてる。

『自立支援法 障害者には苦い薬だが』(朝日新聞5月10日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20050510.html

『障害者支援法*「自立」につながるのか』(北海道新聞5月9日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/backnumber.php3?&d=20050509&j=0032&k=200505099851

展開にあまり追いついてないので、詳しいコメントは避けます。
ただ、finalventさんの日記に朝日の社説について次のようなコメントがある。
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20050510

論旨がわからない。悪い面もあるが改善したと言いたいのか。

 障碍者は多様なので簡単には論じきれないものがある。「自立」と朝日は言うが、根幹では家族の扶助なくしてはなりたたないだろう。というか、市民というのは、障碍者と一緒に社会生活を営むものである。象徴的ではあるが、ダウン症が一定率で発生するのは、そういうふうに受け止めるしかない。

とあるが、「根幹では家族の扶助なくしてはなりたたないだろう」なんて、障害者運動への無理解と無関心の表れとしか思えない。「自立」と「家族」。自立生活を営む障害者たちにとって、この二つの言葉がどういう意味を持つのか、どういうふうに議論されてきたのか、それを踏まえた上での発言とは思えない。後半部分でも「というか、市民というのは、障碍者と一緒に社会生活を営むものである。」とさらりと書いているが、それがいかに困難であったか、困難であるかを、きちんと理解した上で書いているのか?

それに、確かに朝日社説の論旨はわかりにくいが、

特に障害者の団体が問題にしているのは、負担が家族などの同居者に及ぶという点だ。法案では、負担の上限は家族の収入に応じて決めることになっている。親やきょうだいに一定の収入があれば、減免を受けられなくなるのだ。

これでは、障害者はいつまでも自立した存在として扱われないことになる。ここは本人の収入に応じて負担を決めるようにすべきだ。

とあるように、家族を巻き込んだ応益負担を批判して、障害当事者のみの応能負担にすべきだ、という点は明瞭に主張している。朝日の論旨がわかりにくいというより、finalventさんがこの法案の論点をわかっていないだけでは。

わからないことについて、さもわかったふりをして書くことは、あまりいいことではない。まぁ、ちょっとしたコメントなので、ここまで熱く反応することもないか・・・とも言い切れないなぁ。粘着系か。

追記:ちょっと感情的かなぁ・・・(><)

関連項目:
・『 <他者>が在ることの受容』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050210#p1
・『障害者福祉・介助・介護についてのメモ』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050308#p1
・『所有(権)に関する妄想メモ』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050426#p1