研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

健康経済学とQOL

健康経済学

健康経済学

介護・医療ニーズを経済学がどう考えているのか+介護・医療のミクロ計量分析を学ぶために購入。

ほとんど読んでいないが、気になる記述が。

医療の質は生存率によって測られることが多いが、例えば寝たきり、意識不明や栄養チューブや点滴で囲まれた、いわゆるスパゲッティ症候群といった単に死んでいないという状態だけを評価すべきではない。いかに生きるかが重要である。量的な面での充足が達成された今、次の段階として質的な面での充足が求められている。画一的な治療ではなく、個々人の立場に立ち、個々人にとって望ましい医療を実施することを目標とするQOLの確立が必要である。

第八章 生命の質の評価 P209

寝たきり、意識不明、スパゲッティ症候群など、それぞれ全然違うものを十把一絡に「死んでいないという状態」はまずい。そのあとも「量的な面での充足」と「質的な面での充足」を二項対立的に捉えているのもまずい。

QOLの計量的な測定の洗練化がいいか悪いのかはよくわからないが、まだまだ慎重に考えなければならない部分が多いのは間違いなさそうだ。

関連項目:
『在宅介護と施設介護の費用便益分析?』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20060118#p1

『大日康史氏の研究に関する補足』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20060118#p2