研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

波動セミナー潜入メモ:「水からの伝言」と「奇跡のハーブティ」

なんだかあちこちで話題になっているみたいだけど、私はもう何年も前に、この一派?の、エセ科学を使ってお茶を売るセミナーにもぐりこんだことがある。

私は友達にスピリチュアルな方々がけっこういて、そのうちの一人が他の友達に「奇跡のハーブティ」なるお茶を(ほんとうに善意から)勧めていた。

「奇跡のハーブティ」
http://jwt.to/

意外においしいんだよ、これ。んで、その人が参加しているという「波動セミナー」なる怪しげなセミナーがあるということで、俺もいく、といってついていった。

着いた先は、福山雅治も住んでいる(ほんとかは知らない)という汐留の高級マンションの一室。儲かってんだろうなぁって思いました。

で、そこで、世の中にはいい波動と悪い波動がある、とか、その波動を測る波動測定器というものがある、とか、「ありがとう」という言葉はいい波動をもち、「ばかやろう」という言葉は悪い波動をもつ、とか、オーリングテストとか、そういうエセ科学セミナーをながながとうけてきた。もちろん、「水からの伝言」系の話や写真も盛りだくさん。そして最後に、波動が素晴らしくいい(波動値が高い?)という奇跡のハーブティを勧める、という段取りだ。

私も積極的にセミナーに参加して、最前列に座り、オーリングテストの実験台になった。オーリングテストとは、親指と人差し指(中指?)でOを作って(これがオーリング)、身体にみなぎる波動エネルギーを測定するというもの(笑)。

波動エネルギーとオーリングテスト
http://ok-hado.ftw.jp/u24604.html

私の場合はこんな実験だった。ホワイトボードに「ありがとう」と「ばかやろう」を書いて、そのどっちかに手を当てる。「ありがとう」と書いたほうに手を当てていると、オーリングは他人(セミナー講師)の力ではなかなかこじあけられない。それに対し、「ばかやろう」と書いた方に手を当てると、いとも簡単にオーリングはこじ開けられる。これは「ありがとう」と「ばかやろう」の波動エネルギーの違いのせいだ。なんてことだ!

まぁ実際は、講師が力かげんを調整しているだけ。「ありがとう」に手をあてているときには、大げさに力を入れているふりをし、「ばかやろう」に手をあてているときには、いともやすやすとオーリングをこじ開ける。実験台の私から見みてもバレバレ。

こんなのにだまされるやつがいるのかと思って、30人くらいの聴衆の前で、私はこういってみた。

『じゃあ、あなたはホワイトボードを見ないで下さい。私は「ありがとう」か「ばかやろう」か、どっちかに手をあててオーリングを作ります。んで、あなたはホワイトボードをみないまま、私のオーリングを開いて下さい。もし本当に波動エネルギーが私に伝わっているなら、私のオーリングの強さから、私が「ありがとう」と「ばかやろう」のどっちに手をあてているのか、ホワイトボードを見なくてもあなたはわかりますよね??それをあててください。』

講師は苦笑いして、それはあとでやってみましょう、といった。んで、もちろんそのままスルーして終了(笑)。

興味深かったのは、聴衆の反応だ。私がこの提案をしたとき、「おーなるほど」という感じのちょっとしたどよめきが(笑) あなたたち(中年の人が多かった)、いい年して、オーリング信じてたんですね。。。

いやぁ、でも、けっこうまわりに愛用者いたよ、波動値が高いという奇跡のハーブティ。たぶん今も売ってる友達いるよ。しかも効くらしい。病は気からっていうからね。もしかして、ほんとに波動のおかげだったりして(笑)

でも、その友達とか、その周りの友達とか、みんなほんといい人たちなんだよね。mixiに書いてることとかはもう典型的な「スピリチュアル」系なんだけど、それもみんなそれぞれいろんな事情があってそっちの道に進んでるみたい。んでもって、私には味わえない感受性豊かな人生を送っている人たちでもある。

なのに波動セミナー。。。なのに奇跡のハーブティ。。。

純粋にスピリチュアルな心が、なぜかエセ科学に加担して、商売に借り出される。本来、スピリチュアルな領域とは、科学とは異なる枠組みで世の中を豊かに体験させてくれる領域のはずなのに(私は俗っぽい上に理屈っぽいのでそういうの苦手だけど)、なんでエセ科学に動員されなければならないのか。なんだか複雑な気分だったけど、まぁそんなもんかとも思った。貴重な体験だった。