研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

教育費メモ

既婚女性の93.6%、子どもは「2人以上」が理想 民間調べ日経新聞
ライフネット生命保険は既婚女性を対象とした、出産と育児に関するアンケートの調査結果をまとめた。子どもの数の理想を尋ねたところ、44.6%が「2人」、42.4%が「3人」を選ぶなど93.6%が2人以上を理想だと答えた。一方、子どもの人数の理想は1人以上と回答した人に、子どもを持つにあたって不安なことを単一回答形式で聞いたところ、2人以上の子どもがいる人のうち71.5%が「経済的な負担が大きい」と答えた。  子ども人数の理想が1人以上だと答えた人に、政府が導入を目指している子ども手当の使い道を複数回答形式で尋ねたところ、「子ども名義で貯蓄」を選んだのは50.0%で、「教育費にあてる」の38.8%が続いた。  アンケートは20〜45歳の既婚女性で、子どもがいない人と6歳未満の子どもがいる人を対象に10月9〜15日にインターネット上で実施。1000人の有効回答を得た。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091030AT3K2900R29102009.html

高校・大学の費用は1007万円 政策金融公庫調べ日経新聞
日本政策金融公庫は同公庫の教育ローンを利用した世帯を対象にした教育費の実態調査の結果をまとめた。高校から大学卒業までにかかった費用の平均は約1007万円だが、年収が200万円以上400万円未満の世帯は877.7万円で、前年度と比べ100万円以上減少。同公庫は「不況の影響で年収が低い世帯ほど教育費を削る傾向がある」と分析している。  調査は今年7月、200万円以内で教育資金を貸し付ける「国の教育ローン」を利用した2万1046世帯を対象に調査票を郵送する方式で実施。5355世帯から回答を得た。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091128AT1G2403328112009.html

両方ともサンプルの偏りに注意を払う必要があるが、興味深い調査結果。「年収が200万円以上400万円未満の世帯は877.7万円」とはなかなか大変だな。。。

ちなみにスウェーデンでは、大学院まで学費は無料。なんと留学生も無料。博士課程に入れたら逆に給料がでる(これはEUでは一般的だとか)。

ただし、EU外からの留学生は再来年から有料化される可能性があるので、検討中の方はおはやめに。これは有料化されても文句は言いにくいかも。留学生は、学生だから所得税は払ってくれないし、卒業後もスウェーデンに留まらない可能性が高いだろうから、ただのフリーライダーだと思われても仕方がない側面がある。

もちろん留学生受け入れの正の外部効果とかもあるだろうから一概には言えないし、だからこその無料だったのかもしれないが(このへんの経緯には興味があるが知らない)、見直しの対象となるのは理解できる。ちなみに知り合いのスウェーデン人は、このEU外からの留学生有料化の動きが、EU内、最終的にはスウェーデン人の学費有料化に繋がるのではないかと危惧していたが、スウェーデン人のこれらの動きについての意見分布は気になるところ。

もちろんこのような学費無料社会は、日本のように税金負担が先進諸国で最も低いグループに属する国では不可能だろう。教育費1000万を自分で払うか、(1000万より多いか少ないかは人によるが)高い税金で払って無料で教育を受けるかは、受けられる教育サービスの選択肢の幅や質を考慮した上での国家・国民の選択事項だが、集合的意思決定なので日々の買い物のように個々人が選択できるわけではなく、見通しもよくわからない。

ちなみに、シンプルな人的資本論的な観点から教育のコストとベネフィットを個々人単位に切り刻んでいくと、学費無料化などは正当化されず、奨学金や奨学ローンの充実こそが目指すべき姿となると思うし、そういう方向で政策提言する人も多い。私はそういう立場をとらないが、価値財とか外部経済とかで学費無料や一部補助を正当化するということ(だけ)でいいのか、というのもよくわからない。いずれ考えよう。