研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

安楽死:スウェーデンと日本

難しい安楽死の問題(スウェーデンの今)
http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/1527dbcb8bcc110f0242d456c4b99acf

どこの国でも同じような問題はある。

私の安楽死問題の情報源は多くはajisunさんで、ajisunさんのブログで「安楽死」をキーワード検索したらほとんど引っかかったので(笑)、その中から二つほど適当に紹介。

自立支援法廃止にともなう障害者支援施策のための提案
http://d.hatena.ne.jp/ajisun/20100309

死生学VS生存学の時、東大でしゃべったこと
http://d.hatena.ne.jp/ajisun/20091231

ajisunさんのブログを読めばわかるように、難病患者の安楽死尊厳死の問題、人口呼吸器の装着・停止の意思決定の話は、介護保障をはじめとする社会的サポートの問題を抜きには語れない。

スウェーデンの今」ブログの話題に戻ると、

ちなみに、メディア等を通じてスウェーデン社会に対して様々な意見発信を行っているスウェーデン医師研究会は、安楽死について以前から調査研究を続けており、患者が(1) 意思決定する能力を持っている、(2) 十分な情報を与えられている、(3) その決断の帰結を理解している場合に限って、末期かどうかに関わらず、そして、それが積極的な行動を伴うかどうかに関わらず、延命措置を中断できるようにすべき、という提案を行ってきた。
http://blog.goo.ne.jp/yoshi_swe/e/1527dbcb8bcc110f0242d456c4b99acf

とのことだが、このスウェーデン医師研究会の提示する条件で決定的に抜けているのが、(4)患者が十分な社会的サポートを受けている、という条件だ。もちろん、(1)や(4)の「十分」とは何かとか、(1)〜(4)が満たされた上でなお安楽死尊厳死を認めるべきか否かについては再びいろいろ議論の余地があるのは言うまでもないが。

スウェーデンは先進福祉国家とのイメージが先行しているし、実際にそういう側面はかなりあると思うが、以前ajisunさんのサポートで参加したカンファレンスでは、デンマークのALS患者(全身麻痺・人口呼吸器装着で、眼球の動きのみでコミュニケーションが可能な方)が、スウェーデンではALS患者に対して人工呼吸器に関する情報が十分に提供されておらず、呼吸器装着前に、その選択肢をきちんと与えられることもなく亡くなる方も多いとの報告をしていた。

その(統計的)真偽はともかく、この患者の話からすると、デンマークスウェーデンという一般的には極めて近い福祉水準や文化的背景を持つと思われている国の間でも、難病患者が入手できる情報や社会的サポートにはそれなりの差があるのかもしれない。

ちょっと話がずれた。

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