研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

メモ:公的負担/私的負担、税と労働供給、政府規模と経済成長

完全私的メモ。あとからリンク先チェックしたくなるときに備えて。

左翼経済学徒として一言。それは経済学の正統の学説ではないRT @yuasamakoto:クラウチ『ポスト・デモクラシー』略「政策提言の核に現代経済学の正統とされる学説が据えられる。すなわち、市場の自由を保証する以外、国家は何もしないのが最善である、というものだ」(P65-66)
posted at 02:07:22

承前:しかも教科書レベルの「市場の失敗」論だけでなく、最先端の経済学研究でも政府の重要性は様々なところで語られている。左派はそれは掬い取るべし。RT : それは経済学の正統の学説ではないRT @yuasamakoto:「政策提言の核に現代経済学の正統とされる学説が...」
posted at 02:15:15

承前:クラウチ読んでないが、私企業・家族・慈善等の私的領域が社会保障後退の隙間を埋めるのが問題なのは「民主主義の健全さ」というより社会全体の負担は減らずに低所得or高ニーズ層の負担が増大すること。つまり税・保険負担から自費/自力/他人の善意負担へのシフト。@yuasamakoto
posted at 02:34:46

また民営化と外部委託は英国と日本では文脈が異なる。日本には医療介護保育も程度は違えど公的財源・民間供給の枠組みがある。外部委託そのものを批判するより公的財源投入をケチらせず(それは単に私的領域への負担シフトであることを強調)によりよい公と民の供給体制構築を@yuasamakoto
posted at 02:44:35

承前:注記すると、公的財源投入をケチるのは、税や保険料負担が生じさせる歪みや労働供給・経済成長への影響を考えると「単に私的領域への負担シフト」とは言えない。ただこれには経済学でミクロ・マクロ両方で議論があるが、はっきりとしたコンセンサスはないはず。最近もJELでもこのトピあった
posted at 02:50:23

承前:最近のJELでのこのトピってのは、これだ。 Keane(2011) Labor Supply and Taxes: A Survey http://t.co/9biBRV6E WP版はこちら→ http://t.co/mGSvIaGy 読まねば。
posted at 03:01:19

政府規模と経済成長の負の関係は明確なコンセンサスない。やや古だとBarrやAtkinsonは懐疑的、加藤(2011)『世代間格差論』は自身の研究等から負、だがAgell,etal(2006)はinsignificantでunstableとhttp://t.co/7QbqDe5r
posted at 03:19:36

承前:また政府規模と経済成長の関係は、国別パネルの因果推定の困難さがなくても、いつの時代のどういう状況下のどういう歳出か、でかなり変わる(=ヘテロな影響)と思うので、一言ですむ明確な結論はないと思う。また例え負の相関があっても、私的領域での負担増大のデメリットと天秤にかける必要。
posted at 03:25:15

追記:上記のツイートは下記の湯浅氏の一連のツイート(スタートはこれ https://twitter.com/#!/yuasamakoto/status/156408704164573187)を受けてのメモ。

yuasamakoto 湯浅誠
コリン・クラウチ『ポスト・デモクラシー』(2003)。「英国でも、自助グループ共同体主義ネットワーク、近隣自警団組織、慈善活動など大規模かつ多種多様な発展が見られ、社会保障制度の後退によるケアサービスの隙間を埋めようと必死の努力をつづけている。こうした展開はおおむね興味深く、

yuasamakoto 湯浅誠
(つづき)貴重で、価値がある。けれども、ほかでもなく政治に背を向けているがゆえに、本来、政治的である民主主義の健全さを示す指標とみなすことはできない。それどころか、一部の活動はむしろ政治への関与が危険もしくは不可能な非民主主義社会で、国家が社会問題に無関心な社会でこそ盛んになる

yuasamakoto 湯浅誠
(つづき)可能性がある」(P28-29)。「こうした展開[民営化と外部委託]は、公共サービスの側の極端な自信の喪失という重大な結果をもたらす。企業セクターの指導がなければ、業務をこなせるとは思えなくなるのだ。・・・民間セクターに下請けに出される機能が増えるにつれ、国家が従来得意と

yuasamakoto 湯浅誠
(つづき)得意としていた業務を遂行する能力は落ちていく。特定の活動を理解する際に欠かせない知識もしだいに失われる。そうなると、さらに下請けを増やし、コンサルタントを雇って業務の進め方を学ばざるをえない。政府は一種の愚か者となり、無知な彼らの一挙手一投足は事前に予測され、

yuasamakoto 湯浅誠
(つづき)市場の賢者たちに見透かされる。そして当然の成り行きとして、政策提言の核に現代経済学の正統とされる学説が据えられる。すなわち、市場の自由を保証する以外、国家は何もしないのが最善である、というものだ」(P65-66)。