委員を務めた「令和3年度 厚生労働省のEBPM推進に係る有識者検証会」のリンクをメモしておきます。
最終的なとりまとめ報告書(全体版)はこちらになります。
「厚生労働省のEBPM推進に係る有識者検証会 検証結果取りまとめ」
個人的見解としては、「ロジックモデル」の活用の有用性には疑問を抱いていますが、いいっぱなしになるのもよくないので、その点については、また機会があれば追記したいです。
委員を務めた「令和3年度 厚生労働省のEBPM推進に係る有識者検証会」のリンクをメモしておきます。
最終的なとりまとめ報告書(全体版)はこちらになります。
「厚生労働省のEBPM推進に係る有識者検証会 検証結果取りまとめ」
個人的見解としては、「ロジックモデル」の活用の有用性には疑問を抱いていますが、いいっぱなしになるのもよくないので、その点については、また機会があれば追記したいです。
アメリカ経済についてのインフレについてのBendheim Center for FinanceのセミナーとPIIEのセミナー動画をいくつかメモしました。Summers, Krugman, Furmanらのセミナーや対談が中心です。
最近ツイッターで生じている事案について、短い意見書を書きました。
香港技科大の川口さん @mixingale と、「SNSにおける研究者の情報発信のあり方についての意見」という短い文章を書きました。https://t.co/kW8VZr0DTa
— 安藤道人(Michihito Ando) (@dojin_tw) 2021年3月26日
最近問題となった男性研究者の「不適切発言」に関するツイッター上での研究者の情報発信や議論のあり方を深刻に受け止めて、書いたものです。1/
具体的には、公開された呉座氏の過去の発言を「誤読」ないし「意図的に歪曲」して、同氏が一人の女性研究者を中傷したのみならず、全面的な「性差別主義者」「レイシスト」であったかのような風説が流布されている。こうしたことは、呉座氏が北村氏に対して行っていた揶揄と同様かそれ以上に、許されてはならない。
と主張するなど、余波は続いています。
與那覇氏の「同等かそれ以上に、許されてはならない」という表現は、「それ以上に許されてはならない」という価値判断を反映していると推察できます。ですので、この言葉から、與那覇氏が「何をより深刻な問題と認識しているのか」を理解することができます。
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本件についての私の意見は、不十分とは言え、上の意見書に書いたとおりなので、ここでは繰り返しません。
ただ、私がこの一連の事案について考える中で、何度か想起した漫画があるので、その漫画について簡単に紹介したいと思います。
それは、現在ウェブ連載が続いているペス山ポピーさんの『女の体をゆるすまで』という連載漫画です。ちょうど最近、第15話が最近公開されました。
この漫画の第5話で、裁判における社会通念の役割についての話が出てきます。残念ながら今はもう無料では読めませんが、62円でPaypayなどの電子マネーでもすぐに購入できます。
その中で、7年前に著者が受けたセクハラについて、相談相手の弁護士との、以下のようなやりとりがでてきます。
「7年前に私が受けたこのセクハラって…もし訴えたらどうなってたんでしょうか。」
「7年前の出来事で、7年前の当時訴えたらということですよね。」
「はい。」
「勝てなかったと思います。」
「あー...やっぱり。」
「ただし、」
「今だったら勝てるんじゃないですかね!」
(出典:ペス山ポピー(2020)『女の体をゆるすまで』5巻より)
そして、「この7年間で何が違うのか」という質問に対して、「社会通念が変わった」ということや、「社会通念が裁判においてなぜ重要なのか」について、弁護士が説明していきます。
7年前の社会では「社会通念」として許されていたことが、今は許されない。そのようにして、社会のありようは変わっていくし、裁判の結果も変わっていくのか、と、たいへん勉強になる回でした。
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今回の事案についても、私は同様に考えています。「何が許されないか」についての社会通念は、日々変わっていきます。今回の一連の事案も、「何が許されないか」や「何がより問題視されるか」という「社会通念上のボーダー」を巡って、思想闘争が生じていると解釈することもできます。
そして私は、今回の事案に関する「社会通念上のボーダー」を変える必要があると考えています。もちろん、日本社会全体の社会通念をがらりと変えることなど私にできるわけもないですし、それを願うべきでもないでしょう。
そこで、「SNS上の(男性)研究者による情報発信」という、私自身、おそらくすでに最古参の当事者であるテーマに的を絞って、冒頭の意見を表明しました。
(もちろんこれは、意見書の共同執筆者の川口氏とは独立した、あくまで私個人の現状認識および問題意識です。)
なお、上の記事で與那覇氏が懸念していることや、ツイッター上の少なくない男性研究者による類似の懸念に、まったく理がないとは思いません。それについてどういう形で議論をするべきかについては、不十分ではありますが、意見書にも少し書いたので、ここでは繰り返しません。
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最後に、今回の一連の事案に関して、私が目に付く範囲とはいえ、研究者がより重要と感じる「懸念」や「不安」に、そしてその背景にある「社会通念」に、顕著なジェンダー差があると感じました。
当たり前といえば当たり前のことですが、これはなぜなのか、これまではどうだったのか、そしてこれからどうなるのか、という事実解明的な視点は、実証系の社会科学研究者として忘れないようにしたいと思います。
ロールズ以降の「規範倫理学の再興」については多少は勉強したつもりですが、「徳倫理学の再興」ということはまったく認知していなかったので、勉強しがいがありそうです。
メモ2.コロナ禍の医療提供体制とワクチン接種
最近、コロナ禍における日本の医療提供体制の脆弱さやワクチン接種の遅れについての批判が多く出てきています。私もその懸念を共有しつつ、「なぜそうなっているのか」について理解しなければならないと感じています。
熱心にフォローや検証はしていませんが、医療提供体制については、日本の病院や診療所の成り立ちやあり方を考えると、「上手くいっていない」背景はなんとなくは理解できます。一方で、ワクチン接種の遅れの理由については、まったくよくわかっていません。
両者について、ジャーナリズムによる良質な調査報道や専門家による実証的な検証記事が出るのを待っています。
ブログ記事をあまり書かなくなって久しいですが、ツイッター廃止論者となった今、少し原点に戻ってもよいのではないかという気がしてきました。
(なお、ツイッターをやめるわけではありません。共産主義者や社会主義者が資本主義の廃絶や発展的解消を夢見ながら資本主義の下で暮らし、その恩恵を享受するように、ツイッターの廃絶あるいは発展的解消を夢見ながら、ツイッターを使い続け、その恩恵も享受します。)
ブログを書かなくなった理由は、主に2つあります。一つは、SNSの軸をツイッターに移したこと、もう一つは、ブログを書く時間がなくなったことです。また、その両方と関係しますが、ブログはツイッターと違い、自然と「推敲」を促すようなユーザーインターフェースになっているので、時間がかかってしまうということも理由でした。
しかし、ツイッターというSNSに大きな限界を感じている今、もう一度、ブログを書くということがどういうものだったのか、思い出すのもいいかもしれない。そう思ってテストをしてみることにしました。
またこれまでは、ブログもツイッターも「である」調中心で書いてきましたが、どんな内容であっても「ですます」調で書くことも試したいと思います。
自分は、ブログやツイッターは、とくに「である」調で書いているときは、「ひとりごと」を書いている気分で使ってきたし、これからもおそらくそうでしょう。ですが、実際には「ひとりごと」ではないわけなので、それを意識できるようにするために、「ですます」調を使ってみたいと思います。
こう書いているいまも、ひとりごとなのに「ですます」調を使っている違和感に満ちていますが、まずはそういう感覚がなくなるかどうか、試したいとおもいます。すぐに断念するかもしれませんが。
昨日、認定NPO法人もやい理事長の大西連氏と、以下の共同執筆記事を公開しました。
また、この記事で利用しているグラフを、下記のリンク先でインタラクティブ・グラフとして公開しています。
上記記事で掲載されているグラフの個別の件数や金額がわかるようになっているので、長い文章が苦手な方は、こちらを見てください。
以下では、この記事を執筆した背景の一つを、私の個人的見解として説明します。
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9月9日に、以下のニュースが一部で話題になったことを覚えている人もいると思います。
「感染者数が多い上位10の都道府県のうち、人口の多い東京23区や政令指定都市など合わせて36の区や市にアンケート調査を行い、「住居確保給付金」の申請件数を独自に集計」した調査報道であり、たいへん貴重なものでした。
このように、NHKやいくつかのマスメディアは、コロナ禍において不定期で生活保護や住居確保給付金の利用状況についての調査報道を行っています。そして、それらを通じて、私たちは現在の生活困窮者の増減の状況を断片的に知ることができます。
また厚生労働省は、コロナ禍以前より、生活保護の「被保護者調査」を月次で速報として公開しています。現時点では2020年6月までの生活保護の受給状況を、全国・都道府県・政令指定都市・中核市別に、大まかに把握することもできます。
一方で、上記のNHK報道でも取り上げられた住居確保給付金や生活福祉資金の特例貸付は、厚生労働省がコロナ禍での困窮者支援の一丁目一番地と位置付けています(下記ウェブサイトをご覧ください)。にもかかわらず、その利用実態についての速報統計はほとんど公開されていません。
(ただ最近、厚生労働省のオープンデータの一番下に、生活福祉資金の特例貸付の簡単な統計が加わりました。)
そこで私たちは、国会議員事務所が厚生労働省より提供を受けた都道府県レベルの月次データを入手して、冒頭の解説記事を書くとともに、そのデータを公開した、というのが、今回の記事の背景の一つです。
ーーー
今回入手した統計から分かる住居確保給付金や生活福祉資金の特例貸付の「急増」は、書きぶりによっては「バズらせる」ことも可能な貴重なものです。しかし、私も大西氏も、そのような書き方をしないことについては合意がありました。
私たちの目的は、ただネットで話題になり、次の日には忘れられるような記事を世に出すことではなく(もちろん上記NHK記事のことではありません)、これを一つの出発点として、コロナ禍や「平時」における生活困窮者の実態把握やその対策の推進に貢献することです。(私たちが二人ともネットでバズらせるのが苦手ということもあります。)
もちろん、より多くの人に上記の記事やグラフを見ていただき、コロナ禍や「平時」における生活困窮者の実態や政策についての議論が進むことは重要だと考えています。
ですので、上記の私たちの記事に興味を持った発信力のあるジャーナリスト・ライター・記者の方々には、是非、(大西氏に)取材を申し込んで欲しいと思います。
私としては、これをきっかけに、コロナ禍かどうかをとわず、生活困窮者の「リアルタイム把握」を誰もが簡単・迅速に把握できるように、生活困窮者関連の公的統計について、政府には以下の3つの事柄を実現してほしいと考えています。
- 全国・都道府県別・都市別の迅速な月次データのリアルタイム公開
- V-RESUSのような分かりやすいユーザーインターフェースでのグラフの公開とリアルタイム更新
- 1と2を無理なく実現するための、十分な関連予算と人員の確保
もちろん、リアルタイム公開といっても、公的データであるため、いくらかのラグが伴ってもかまわないし、V-RESUSほど洗練されたユーザーインターフェースでなくてもかまいません。できるところから、やって頂きたいと思います。
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実は、今回公開したグラフに対応する都道府県レベルのグラフもほぼほぼ作成済みです。しかし、公開できるクオリティになっていないため、残念ながら今回は全国レベルのグラフだけ公開しました。ただし、都道府県レベルのデータも含めて、全てのデータは下記のGitHubの「household_support_monthly」フォルダで公開しています。今後も、必要に応じて更新します。
GitHub - michihito-ando/covid19-japan-policies: Documents about Japanese COVID-19 policies
※最後に、今回のデータの前処理やグラフ作成は、自費で契約したリサーチ・アシスタントとともに行いました。私たちが共通して使用できる統計分析・グラフ作成・Webアプリケーション作成ソフトはRのみなので、RMarkdownおよびShinyを使ってグラフを作成しました。ただしShinyについては、一般公開にはサーバーが必要であるため、公開の見通しは立ってはいません。このあたり、ボランティアとして参加したい、Rをそこそこ扱える方は andomichihito<at>gmail.com までご連絡ください。(Webアプリケーション作成にはPythonやJavaScrpitのほうがよいのかもしれませんが、現時点で私が使えず更新できないので、R限定となります。)