研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

審議会等のメモ、(たぶん)はじめます。

いかに日本の社会保障地方財政を研究対象にしているといっても、英文ジャーナルに経済学論文をパブリッシュすることを最終的な目的・目標とする勉強・研究ばかりしていると、日本の(地方)財政・社会保障の現在進行形の議論について、どうしても疎くなってきてしまう。

なので、毎日送られてくる財務省厚生労働省の新着状況をチェックして、それらについて簡単にメモ(コピペ)しようと思う。審議会などには、官庁作成資料はもちろん、けっこう研究論文や調査報告書結果が掲載されたりもするので、そういうのをチェックするという意味も込めて。

総務省の新着情報メルマガ、終わってたのか。気がつかなかった。
http://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/melmaga/index.html

基本的には、新着情報から見つけた審議会・研究会の資料や議事録から、メモしておきたい内容について、タイトル・リンク・概要等のコピペを機械的に行う予定だが(改行のずれや文字化け等は直さない)、気が向けばコメントなども加えていきたい。

今日は初めての日。今後も続くかどうか。

後記:初日感想。かなり手を抜かないと続かないかも。それかツイッターでの情報チェック時間を削減してこっちにあてるか。

20111004第6回社会保障審議会生活保護基準部会資料

第6回社会保障審議会生活保護基準部会資料
平成23年10月4日(火)
15:00〜17:00

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qjkb.html

主観的最低生活費の測定
山田篤裕(慶應義塾大学経済学部) ※報告者
四方理人(関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構)
田中聡一郎(立教大学経済学部)
駒村康平(慶應義塾大学経済学部)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qjkb-att/2r9852000001qjos.pdf

※ 本研究は、厚生労働科学研究費補助金(政策科学推進研究事業)を受けた『低所得者
生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究(平成22年度・研究代表者:
駒村康平)』の一環として実施された。

測定の意義
 相対的貧困
◦ 中位等価可処分所得の50%に設定
◦ 国際比較に便利
生活保護基準に基づく測定結果と似ている
◦ ただし背後にある生活費の裏付け?
 最低生活費へのアプローチ
◦ 裏付けをもった基準は多様
 理論的生活費(マーケット・バスケット)
 実態家計(家計調査、家計簿)
 市民参加型(仮想的家計)
 その他

結論
 質問方法の違いによる最低生活費の幅は一定の範囲に収まっ
ている
◦ 最低生活費について両極端の尋ね方による幅(世帯構成によって
異なるが)は一定の範囲
◦ 月間必要消費項目の中央値:T調査=K調査×1.2〜1.3倍
◦ 年間必要消費項目の中央値:T調査=K調査×1.2〜1.9倍
 単身世帯以外の主観的最低生活費の水準
◦ K調査<保護基準<T調査
◦ 単身世帯の生活保護基準は相対的に低い(K調査より低い)
 主観的最低生活費の特徴(保護基準との比較)
◦ 第1類関連消費:20歳未満の世帯員について相対的に低く見積も
る傾向
◦ 第2類関連消費:相対的に高く見積もる傾向
◦ 世帯に働く規模の経済性を相対的に高く見積もる傾向

この慶応グループは、数年前からこういう研究をこつこつ続けている。日本では手薄な、経済学と社会政策学が交錯するポイントでの研究テーマであり、今後の展開に期待。

「被保護母子世帯における貧困の世代間連鎖と生活上の問題」
駒 村 康 平
道 中   隆
丸 山   桂
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qjkb-att/2r9852000001qjp1.pdf

要   旨
本稿では,X 市の個票データを使い,生活保護被保護母子世帯の持つハンディや生活保護受給期
間や就業を規定する要因について数量的に分析した。分析の結果,?母親の 3 割以上が,成育期に
生活保護を経験しており,高卒未満という学歴や 10 代出産など,成育期に発生した事柄が現在の生
活の負荷になっていること,?就労阻害要因には,母親の健康状態と学歴があること,? DV,児
童虐待,母子の健康状態の悪化など,家族内のハンディが累積・集中していることが確認できた。
キーワード
生活保護,貧困の世代間連鎖,10 代の出産経験,児童虐待,D

生活扶助基準の設計について
標準世帯と世帯規模の考慮を中心に
慶応義塾大学
駒村康平
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qjkb-att/2r9852000001qjsb.pdf

参考文献

  • Atkinson, A. B., L. Rainwater and T. M. Smeeding (1995), “Income distribution in OECD

countries: Evidence from the Luxembourg Income Study”, OECD Social Policy Studies
No. 18, Paris

  • Buhmann, Brigitte, L. Rainwater, G. Schmaus, T. M. Smeeding (1988) “Equivalence

Scales, Well-being, Inequality, and Poverty: Sensitivity Estimates Across Ten Countries
Using the Luxemburg Income Study(LIS) Database, The Review of Income and Wealth,
vol.34, No.2, pp.115-142

  • Kuivalainen, Susan (2004) A Comparative Study on Last Resort Social Assistance

Schemes in Six European Countries. Research Report 146. Stakes, Gummerus,
Saarijärvi

  • 山田篤裕、四方理人、田中聡一郎、駒村康平(2010) 「貧困基準の重なり―OECD

対的貧困基準と生活保護基準の重なりと等価尺度の問題―」『貧困研究』第4巻,
pp.55-66

  • 渡辺久里子(2010)「生活扶助基準における「世帯規模の経済性」の検討」駒村康平

編『最低所得保障』岩波書店

  • 渡辺久里子(2011)「等価尺度の推計と比較‐全国消費実態調査と生活扶助基準から

‐」『低所得者、生活困窮者の実態把握及び支援策の在り方に対する調査研究』平
成22年度 厚生労働科学研究費報告書(研究代表者 駒村康平)

20110927厚生科学審議会疾病対策部会 第14回難病対策委員会

厚生科学審議会疾病対策部会 第14回難病対策委員会
平成23年9月27日
10:00〜12:00
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a.html

なんで資料の中身コピペできないんだ。。。

資料1「疾病対策部会における議論概要及び難病対策委員会への検討指示事項」(PDF:369KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a-att/2r9852000001qncw.pdf

資料2「難病患者等の日常生活と福祉ニーズ調査に関するアンケート調査(平成22年度障害者総合福祉推進事業 報告書)」(PDF:16KB)(平成22年度障害者総合福祉推進事業報告書)
財団法人北海道難病蓮
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a-att/2r9852000001qnd3.pdf

資料3「難治性疾患患者の生活実態に関する調査(平成22年度難治性疾患克服研究事業 分担研究報告書)」(PDF:124KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a-att/2r9852000001qnda.pdf

注:平成22年(2010年)10月に実施した「難治性疾患患者の生活実態に関する調査」(回収件数2203件、回収率44%)の作業を踏まえての課題・問題点整理らしい。ツイッター上でいくつか回答者から(あまりよくない)評判がみられた、例の調査かな?もし回答者の方がいたら、調査内容やこの調査報告書の評価を聞きたいところ。

資料4「難治性疾患対策について」(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a-att/2r9852000001qneq.pdf
別紙
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qn9a-att/2r9852000001qnf5.pdf

20111005中央社会保険医療協議会 総会 (第198回) 議事次第

中央社会保険医療協議会 総会 (第198回) 議事次第
平成23年10月5日(水)
9時30分〜

入院、外来、在宅医療について(総論)
資料(総−2)(PDF:6300KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qd1o-att/2r9852000001qd6n.pdf

90ページのPPT資料。社会保障全体の話から、わりと細かい話まで。他の資料は開いてない。

2011年9月16日 第45回社会保障審議会医療保険部会議事録

2011年9月16日 第45回社会保障審議会医療保険部会議事録
平成23年9月16日(木)9:57〜12:24
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001qt3n.html

資料はこちら。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001o3n6.html
議事次第
議事次第(PDF:75KB)

委員名簿
委員名簿(PDF:36KB)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001o3n6-att/2r9852000001otc3.pdf
座席図
座席図(PDF:14KB)

議題1について
資料1 次期診療報酬改定の基本方針の検討について(PDF:141KB)
資料2 過去の診療報酬改定の基本方針における視点等(PDF:118KB)
資料3 平成22年度診療報酬改定の基本方針(PDF:289KB)
資料4 平成22年度診療報酬改定の基本方針への対応状況について(PDF:213KB)
資料5−1 次期診療報酬改定の基本方針の検討について (参考資料)_Part1(PDF:997KB)
資料5−1 次期診療報酬改定の基本方針の検討について (参考資料)_Part2(PDF:942KB)
資料5−1 次期診療報酬改定の基本方針の検討について (参考資料)(PDF:1937KB)
資料5−2 被災地の医療機関等に対する診療報酬上の緩和措置について(PDF:405KB)
資料6 社会保障審議会医療保険部会(平成23年7月21日)における各委員の発言要旨(PDF:187KB)

議題2について
資料7 社会保障・税一体改革成案における高額療養費の見直し等のセーフティーネット機能の強化、給付の重点化関係(PDF)

せっかくなので経済学者の岩本先生の発言からのやりとりをコピペ。

○岩本委員(東京大学大学院経済学研究科教授) お話の筋立てが高額療養費を見直すということで財源が必要であって、公費も充てられない、保険料も充てられないということで定額自己負担に求めるということなんですけれども、私が全く私的な立場から一生活者としてこの話を見た場合、高額療養費を使って生活が苦しくなる可能性もあるとして、その分負担が下がるということで恩恵を被るということであれば、なにがしかの負担を自分としてはしなければいけません。その場合だったら保険料を上げてくれるのが一番いいなと思います。そうすることによって、国民全体でその部分を分かち合うということで負担をするということになるわけです。
 定額の自己負担はどういうことかというと、医療機関にかかった人だけでその際負担する。たくさん通った人はたくさん負担するという形の負担になるわけなので、そういう形のやり方よりは、どれぐらいの医療費使うかわからないという段階で、そういった病気の度合いとかによらない形で負担が決まっている方がもっと負担がしやすいのではないかというのが個人的な意見です。経済学者としてもそういうふうに考える次第です。ですから、最初に保険料の負担ができないという前提で話が始まっているところはそうなのかなという気がいたします。
 この制度自体は免責制と違うんだとおっしゃっておりますけれども、その負担の金額から見れば事実上、免責制と同じ形をしておりまして、計算しますと約143円の免責制のような形になっています。最初の143円が保険給付の対象から外れて、それ以降3割負担という形と同じ金額を負担する形になるんだと思います。
 免責制の議論は昔からありまして、私も財政を研究している過程でいろいろそれについて研究していたんですけれども、これは医療費の財源調達する最後の手段であると認識しております。これは最初のところで受診抑制が働くということはありますので、軽々と使うべきものではないと思っております。
 保険料でみんなが払えるという状態であれば、その方が医療費の財源調達としては合理的な手段であると考えております。現状ではなかなか保険料も上がってきて苦しい状態ではありますけれども、まだこの程度の規模であれば国民に十分に理解を求めれば払える。保険料を上げて払うということで理解を得られるのではないかなと思っておりますので、現段階ではこういう形で高額療養費の見直し、財源を求めるのではなくて、きちんと説明をしていって保険料によって財源を調達するのがいいのではないかなというのが私の考えでございます。

○白川委員(健康保険組合連合会専務理事) 岩本委員の御意見は、全体としてはそういうお考えもあるかと理解はできるのですが、2つ問題があります。
 1つは、個々の保険者によって高額医療の発生額が違う。一番いい例が国保の方に低所得者の方が多いですから、そちらへの保険料負担はかなり大きなものになるだろう。健康保険組合は、例えば300万円以下の層というのはそんなにおりませんので、負担は余り大きくない。そういった問題が1つあるということ。
 もう一つは、これは保険料の問題だけではなくて税財源も絡む話。当然のことながら、高額療養費の4分の1ぐらいの額は国あるいは公費で負担をしておりますので、それの問題もあると私は考えております。
 この件について、前回、昨年の10月、12月ぐらいに議論したときも保険者の方からは財政中立にしてくれという意見、私も含めて多くの保険者がそういう御意見だったと思います。これはいろいろな意味があるんですけれども、全体としての財政中立という話と各保険者グループといいますか、国保とか協会けんぽとか健保組合で個々に財政中立をしてくれという話と両方あるかと思います。
 なぜそういう言い方をするかといいますと、先ほど申し上げたとおり、もしも国保が財政負担が大きいので、被用者保険の方からその分は補てんしますかと、これは財政調整ということになるので、単に高額療養費のお金のやりとりで済まない。
 我々が保険料を上げるとか上げないとかいう議論の前に気にしておりますのは、当然のことながら、今、保険集団で徴収しております保険料のうちの半分近くを高額療養費に拠出をしている。高齢者に財政調整しているという現状で、更に高額療養について財政調整をまたやるのか。それは我々として事業主なり加入者の方になかなか説明がつかないということを懸念して、財政中立をしていただきたいというお願いをしているということです。
 若干、去年の議論の繰り返しになりますけれども、整理して私どもの考え方を御説明いたしました。

○遠藤部会長(学習院大学経済学部教授) 1つ質問ですが、そうしますと各保険グループ間で財政中立を維持するということは、高額療養費の上限基準が各保険グループによって異なってくるということを意味すると理解いたしますけれども、そういうことでよろしいんですか。
○白川委員 いえいえ。私が申し上げたのは、去年の財政中立の議論のときはそういう考え方の意見があったと申し上げているだけで、今回の制度について各制度ごとに定額負担の額を変えるなどということは全然言っているつもりはございません。
 申し上げたかったのは、例えば100円ということにして高額療養費の発生状況あるいは所得分布を見て、各制度ごとにバランスはとれるんだろうかという観点での検討はこれから必要ですねということを申し上げているだけでございます。
○遠藤部会長 ありがとうございます。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員(全国健康保険協会理事長) 岩本委員のお話について、先ほど申し上げましたように、私ども協会けんぽで申し上げますと、財政的に赤字構造と申し上げたのは、1人当たりの医療費は右肩上がりで上がっている一方、保険料のベースになる標準報酬月額は横ばいないしは減っており、常に赤字の構造にあるということであります。
 したがって、現在累積赤字を抱えていて、金融機関から借入れをしながら医療費を払っているという状況になっており、先ほど保険課長からお話がありましたように、資料7の4ページの通り、保険料率は21年度は8.2%、22年度は9.34%、23年度は9.5%と急激に上がっております。。来年度、24年度は10%を超える懸念があります。高額療養費の見直しがなくても、保険料は上がっていく構造になっているわけです。
 制度の見直しの議論に当たっては、給付と負担の関係が常にセットで考えられなければいけないと思います。保険料収入だけではこれを負担し切れません。先ほど申し上げたように、私どもの加入者は中小零細企業であり、保険料は勿論、事業主と加入者が半分ずつ負担しますが、新たな負担は耐えられない状況にあります。制度の見直しを考えるときには負担とセットで考えていく必要があり、こういう考え方もあり得るのかなと思います。保険料率はこれ以上、上げる状況にないというのが私どもの意見でございます。
○岩本委員 負担とセットで私は考えていて、負担の仕方として並べた場合にどちらが適切かという判断で申し上げた次第です。その段階で保険料の方が私としては納得しやすいという意味です。
 勿論、苦しくて保険料がこれ以上払えないという人がいるかもしれませんが、けれども、その人にもこの制度では負担を求めるわけです。しかも、その求め方が病気になって医療機関に行ったときにお金を払ってもらいますという仕組みになっているわけですから、それよりは苦しくても何とか元気に働いているところでみんなで分かち合って、その場合の負担というのは、窓口で定額負担する分よりも少し安くなると思うんですけれども、それを負担するということに納得する人も出てくるのではないかなというのが私が申し上げたことです。