研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

もう少しやさしい池田信夫がいるといいかもね

派遣村」の偽善(池田信夫ブログ)
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo?sess=c1fe33e1a35c22142b7b07343c319d99

コメント欄も含めて、現状認識、「派遣村」の政治性、処方箋の方向性について3点軽くメモ。

1.現状認識について

坂本政務官の発言や、木村剛氏のコメント、上記エントリのコメント欄やウェブのあちこちで見られる「まじめに働こうとしている人たちなのか」とか「仕事など選ばなければ見つけられる」とか「故郷があるのなら、帰省のための交通費を貸してあげた方が親切なのではないでしょうか。」いう現状認識は、(派遣村に集まった人たちがどういう人たちなのかは断定できないが)、ホームレスやネットカフェ難民、(一部の)派遣労働者たちについての認識としては誤っているだろうし、根本的には池田氏の経済観とも相容れないだろう。

ちょっと寄り道だが、ホームレスについては、経済学者の鈴木亘氏の下記の貴重な論文がある。

「ホームレスの労働と健康、自立支援の課題」, 単著, 日本労働研究雑誌((独)労働政策研究・研修機構)2007年6月号, pp.61-74
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/06/pdf/061-074.pdf

*この論文は、「墨田区ホームレス実態調査」に基づいている
http://www.city.sumida.lg.jp/sumida_info/houkokusyo/HLjittaityousa/index.html

今、あつい若手経済学者8人

Emerging economists:International bright young things
http://www.economist.com/displaystory.cfm?story_id=12851150

randomised trialなどに依拠した応用計量経済学的な研究が勢いがあるというのは、小難しい数理的なミクロ理論が栄えるよりも個人的はありがたいと思っているが、まぁこの記事にもちょっと書かれているように、それだけってわけにはいかないんだろうなあ。。。