研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

民主党議員、やまのい和則の税制・財政改革論

介護保険実現の陰の立役者・推進者の一人であり、自身のメルマガにおいて、自立支援法案を痛烈に批判し、生活保護や医療保障のあり方を憂い、社会保障の荒廃ぶりと重要性を訴え続けている民主党員のやまのい氏。だが税制や財政についてはほとんど触れることがなく、気になっていたのだが、ついに今日のメルマガにこんな文章が。

◆さて、谷垣財務大臣が総裁選挙に出馬表明をされました。
  靖国神社参拝を自粛されるのは賛成ですが、
  「社会保障目的税で消費税率2010年代半ばまでに10%」
  はいくら何でもやりすぎです。

  その前に、歳出削減をせねばなりません。
  特に、消費税は低所得者に重くなる
  という逆進性がありますので、
  複数税率の導入を含め、慎重に検討せねばなりません。

 ◆社会保障目的税とのことですが、
  「社会保障を良くしたい」
  という意欲はあまり感じることができず、
  「社会保障を名目にすれば、
   消費税アップも国民に理解されるだろう」
  という言い訳だと思います。
  とにかく、財務省の代弁者です。

 ◆私は将来の消費税アップは全面的には否定しません。
  しかし、まずは政権交代し、大胆に行政改革をし、
  歳出を削減することが先決です。

  その後でないと、消費税率アップの議論は
  やるべきではないと考えます。

これでは小泉さんと同じではないか。やまのい氏が痛烈に批判する、小泉政権社会保障改革だって、同じ「歳出削減」の名の下に行われているのだから。せめて、自分が重きを置いている社会保障を守りながら、他の分をどう歳出削減したらいいのか、それで国の財政は持ち直せるのか、そういうことをきちんと示さないと、全く説得力がない。

歳出のあり方をきちんと見直すことの大切さを訴えるのはいいとして、こんな大雑把な「反消費税率アップ」+「歳出削減断行」の主張では、彼が描いている日本の将来の社会保障のビジョンやあり方が全く見えてこない。一体、スウェーデンでなにを学んできたのだろうか。期待していただけに、残念。