子どもの最貧国・日本
- 作者: 山野良一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: 新書
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本のタイトルは扇情的だが、中身は、児童福祉司のソーシャルワーカーとしての著者の現場経験と、統計的・計量的分析を中心とした欧米や日本の調査研究レビューを踏まえた堅実な良著。
豊富な事例紹介や研究紹介をベースとした著者の考察には説得力がある。巻末にはきちんと参考文献の出典が掲載されており、紹介されている実証研究をさらにチェックすることも容易だ。久々に読み応えのある新書だった。
ただし、政策分析や政策提言は弱い。だが、著者が実務家であることを考えると、そこまで望んではいけないだろう。むしろ、実務家であるにもかかわらず、自らの経験に埋没せず、冷静に学術的研究に依拠して考察している姿勢は貴重かもしれない。
現場を知らない研究者、政策立案者、政策コンサルタントが机の上でパパっと考えたことが政策論としてまかりとおっていることを日々実感する今日この頃(前回の日記のことではなく、私の周りの話です)、そしてそれが社会構造上、ある程度不可避なことも(もともと理屈としてはわかっていたが)なんとなく実感してきた今日この頃、本書のような本を読むと、なんだか励まされる。
最後はグチか。