研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

メモ:平和教育とか(あとペとピについて追加)

kaikajiさんの「反日反戦をめぐる三題噺」
http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20050419#p1
を読んで、自分の中学時代を思い返してみた。

私は1981年生まれである。この世代がどういう平和教育を受けてきたのかはよく知らない。ただ、私の中学は三年間のテーマとして「平和教育」を掲げ、その集大成として、修学旅行は広島だった。どちらかというと珍しいほうだと思う。少なくとも、他の学年ではそんなことはしていなかった。

その平和教育に対する当時の私のスタンスは、後付け的にいうならば「こんななまぬるい平和教育じゃなくて、もっと自虐史観つらぬけよ」というものだった。当時ほどナイーブではないと思うが、今でも基本的にはそういう心情だ。最近はあまりこういうこと考えてないから自分でもよくわからないが、きっとそういうのを好む性格なのだろう。つまり自虐好きってことですか。
kaikajiさんは、

周知の通り、僕が空気のように吸って育った戦後平和教育は、現在日本国内でも厳しい状況におかれている。右からは冷戦崩壊後の国際関係において、軍事的要素を無視した外交はありえないという観点から、「非現実的な平和ボケの思想」という批判を受け、一方左の側からは、それが基本的に日本人の被害者としての側面を強調し、アジアへの加害者としての視点を忘れた一国平和主義的なものであるという点が厳しく批判されるようになってきた。

といっているが、中学生の私はいわば「左の側」であった。

で、今の私がどういうスタンスかというと、自虐好きなこと以外あんまり自分でもわからなくって、ただ「歴史の記憶の共有」に向けて少しでも進んでくれたらなぁ、と思うくらいだ。ただ、日本や韓国はともかく、中国の現体制ではなかなかスムーズにいかないだろうなぁと思うけど。これは大きな障壁だ。

中国の体制や日中韓ナショナリズムを考えれば、「歴史の記憶の共有」なんてナイーブすぎる、と思う向きもあるかもしれないが、私はそうは思わない。研究者レベルでは交流もあるんだし、どっかに妥協点はあるだろう。日本の歴史研究者はサヨクばかりだから当てにならない、とかいわれそうだけど。

だからこそ、
「史料がない、見られない、という問題」
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050307#p1
こういう地味な問題を少しずつ解決していってほしいのだ。

私は将来的には、日中韓(もしくは日韓)共通教科書とかできてもいいと思う。つくる会みたいに草の根運動みたいな形でせこせこつくって、「こんなのもありますよ」と宣伝して、市販するのも面白い。けっこう売れるんじゃないかな。

教科書検定通れば、どっかの学校で使ってくれるかもしれないし、それでなかなかいいということになれば、だんだん広まっていくだろう。というわけで、日中韓(もしくは日韓)歴史研究者の方々、楽しみにしています。

追記:日韓共通教科書には、やっぱ冬ソナとペについては載せなければなるまい。ピはいらない。ちなみにピについては
http://www.rain-official-club-japan.com/
を参照されたい。