研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

[社会]前回の追記

トラックバックいただいた方のブログ経由でこんなのがありました。

『安全という情報』
http://d.hatena.ne.jp/sawajaru/20050501/p1

ならば、消費者の評価軸に安全を明示的に加えるような仕組みを整備すれば交通機関の取り組みは変わるのではないでしょうか。安全が評価軸に入ってこないのは、消費者側が当然視するという理由もありますが、一方で非常に評価しにくいから、という理由もあります。消費者は欲しいけれども情報が得にくい、情報の非対称性の典型例だと言えます。

こういう考察にもっていけないところが、「市場競争、資本主義が原因」派の弱いところか。稲葉振一郎風に言えば、「意地悪く言えば『現世否定』」ということか。

でも、例えば文脈は違うけど、「市場競争、資本主義が原因」派である反ナイキ運動や反スタバ運動がとった「ブランドを傷つけられたら消費者イメージ的にお前も困るだろ?だから労働環境を改善しろや!」戦略は、そんなにナイーブじゃない。あれも消費者と生産者の間の情報(生産現場の労働環境という情報=商品イメージに関わる情報)の非対称性に着目しているわけだから。

要は「現世否定」の後に、どういう戦略なり提言なりができるか、ということか。もちっと詰めて考える余地があるが。