研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

鈴木亘VS権丈善一 年金論争番外編

こないだのエントリ

鈴木亘氏の週刊東洋経済への反論
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100106#p1

に対して、知り合いから以下のようなメールを頂いたので、許可を得た上で掲載。自分は相変わらず勉強不足でなんともいえないけど、こういう情報はありがたいです。ありがとうございます。

さて、鈴木亘先生が反論してましたね。
個人的にはあの反論にはあまり納得がいきませんでした。もっと根本的な反論を密かに期待していただけに、残念でした。私は、国民年金の未納は、そもそも年金財政に与える影響は軽微だし、免除制度の職権適用とパート労働者への厚生年金適用ができれば、ほぼ解決するのではないかと思います。この二つを実現してもなお未納を続ける人は、そもそも年金制度の枠内での救済に値しないでしょう(例えば所得があるのにパチンコで浪費したために保険料を支払えない人)。

権丈先生も、未納の問題の解決にはこの2点を考えていると思います。未納が問題であるのは、年金財政へ与える影響よりも、未納者が将来無年金者になることだという点では、鈴木先生も権丈先生も一致しているので、後は、未納を減らす手段をどうするかという話に尽きると思います。前者は租税方式、後者は先の2点です。

ですが、鈴木亘ブログではあたかも今の年金制度を擁護する人がすべて、「未納は全く問題ない」と喧伝したかのうように書かれていて、事実と大幅に違います。端的に、未納問題を租税方式化で対処するのか、現行制度+パートの厚生年金適用等で対処するのかという点を論じるべきだと思いました。この場合に後者が優勢 なのは明らかでしょうけれど。