研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

スウェーデンの総選挙

先日、スウェーデンで総選挙があった。スウェーデンに住む知り合いのコメントが、スウェーデンの選挙の特徴を非常に簡潔に伝えていたので、許可を頂いて転載する。

日曜日はスウェーデンの総選挙でした。結果は社民党保守派連合と中央右派野党連合がどちらも過半数に達せずほぼ均衡。移民排斥を主張する極右政党、Sweden Democratsが17.6%(4年前から+4.7%ポイント)と得票数を伸ばしました。

選挙の結果はControvertialですが、私は今回の選挙を通じてスウェーデン人の民主主義に対する真剣さと敬意を多くの場面で感じました。

1.投票日の数か月前から、テレビも新聞も選挙一色。テレビでは毎日政党党首の討論会を放映していて、しかもスウェーデンで問題になっている課題ごとに各政党が政策を議論するため、有権者は各政党の政策をよく理解できた

2. 選挙前は人が集まれば各政党の政策について話をしていた。スウェーデン人は、最終的に自分がどこに投票するかは家族内でも明かさないけれど、政治に関する議論には非常に積極的。敵対的態度にならずに政策議論をすることに長けている

3.投票率85%

4.投票会場にはネクタイ・スーツ姿の正装で現れる人々もいた。「参政権」に対する大きな敬意を感じた

5.私の子供の小学校では、授業で各政党の政策が議論された。学校によっては各政党の青年部が政策を説明に来るところもあるらしい

6.選挙前の期間、子供の小学校では選挙と民主主義について先生と子供たちが話し合った(私の子供時代にこんな記憶はない)。我が子は掛け算の九九はできないけれど、民主主義についてはある程度理解している

7.そして、子供の小学校では実際の投票日前に模擬選挙が。子供達の投票結果は、国の投票結果とは大きく違っていて興味深かった

当然ですが、民主主義は世界中の国で当たり前のイデオロギーではなく、国民が守って行くべきものだということを細胞レベルでわかっている国民だと思いました。日本人の民主主義に対する意識について多くを考えさせられます。(引用終了)

スウェーデンというと、まず高水準の税負担や社会保障、そして次にその経済運営などに注目が集まることが多い。しかし、民主主義や選挙制度の日本とスウェーデンの「違い」については意外に知られていない。