研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

保険免責制度導入へ?

『医療費の一定額を保険対象外に、患者負担重く・厚労省案』
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20051016AT1F1500G15102005.html

前に、インドに住んでいたときにお世話になっていたメイドが、自分の娘の薬代を出せなかったという逸話を書いた。医療保険が整備されている日本でも、これに似たような事例が増えていかないことを願うばかりだ。

『インドのメイドの話』
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20050301

個人的にも、アレルギー性鼻炎の治療は、月に二回耳鼻科に通うだけで、自己負担は月に七千円〜八千円近くになる。私の場合、医療費の自己負担が増えて「本当に必要な治療」の時だけ耳鼻科に行くようになっても、普段鼻がぐずぐずむずむずするのを我慢するだけでいいのだが、インドのメイドのような深刻な事例がでないように願うばかりだ。でなければ、なんのための医療保険なんだかわからない。

この話は難しい。政府の「小さな政府」路線を嘆いているだけではどうしようもないのだ。医療や介護を豊かなものにするには、医療や介護のサプライサイドの改革という話はもちろん大切だが(改革=効率化=水準低下ではお話にならないが)、増税や保険料といった歳入側を考えないとどうしようもないところもある。これについては現在勉強中なので詳しくは書けないが。

財政については、ブログ界では、特にマクロ経済的な視点からbewaad氏(http://bewaad.com)が精力的に書いている。多くの書き込みには、ブログにしては珍しく具体的な数字や表が豊富に参照されていて勉強になる。例えば、経済財政白書について書いたここ(http://bewaad.com/20050811.html#p01)とか。