研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

国立市の障害者福祉政策

国が自立支援法案でもめている中、東京都の国立市はこんな宣言を出した。
『しょうがいしゃがあたりまえに暮らすまち宣言』
http://www.city.kunitachi.tokyo.jp/%7Efukushi/04fukushi/045_sonota/0450/045013_atarimaesengen.html

んでもって今日、国立市第三次地域保健福祉計画(案)策定のためのしょうがいしゃ部会の審議会を聴講してきた。継続して行われていたが、私は今日初めて聴講した。
部会長は立教大学の河東田博氏であり、
http://www.rikkyo.ne.jp/grp/jyoseika/ken/vin/katouda_h.html
http://www.arsvi.com/0w/ktudhrs.htm
日本の障害者運動の一大転機となった「府中療育センター闘争」で都庁前に一年九ヶ月座り込みを行った三井絹子さんも委員として参加している。

この第三次地域保健福祉計画(案)の「しょうがいしゃ保健福祉」の部分では、市単独の直接給付(ダイレクト・ペイメント)による介助制度の創設が、新規事業案として提案されている。直接給付(ダイレクト・ペイメント)方式は、障害者の当事者主権を高める介護制度として障害者運動では注目されているものだ。生活保護他人介護加算など、直接給付による介護料給付は部分的にはこれまでも存在したが、包括的な介護制度としては成立していない。

また、この検討中の国立市の介助制度案では、「介助に関わる人材の資格を問わない」と明言されており、介助の資格化を進めている国の動きとは正反対の方向を打ち出している。私も正規の資格なしで介助の仕事をしている身だが(みなし規定というもので有償介助をすることを許されているらしい)、果たして介助に資格が必要なのかどうか、必要だとしたらそれはなぜなのか、必要でないとしたらそれはなぜなのか、慎重に議論する必要があると思う。

これから実現可能性について本格的な議論に入るらしく、注目しなくてはならない。財政状況が厳しい中、国と逆行する形でのこのような国立市の試みはどの程度成功するのか。このまま計画案が通るとは思えないが、どの部分が実現し、どの部分が実現しないか、そしてそれは何故なのか、しっかりチェックしておく必要がある。

とはいえ私も、今日初めてしょうがいしゃ部会を聴講し、ダイレクトペイメントについても詳しくは分からない。要勉強である。