京極高宣 (国立社会保障・人口問題研究所) 「障害者自立支援法の利用者負担について」
http://www.ipss.go.jp/publication/j/DP/dp2008_j02.pdfコメント:
高橋紘士(立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科)
http://www.ipss.go.jp/publication/j/DP/dp2008_j02_c1.pdf
北野誠一(東洋大学ライフデザイン学部)
http://www.ipss.go.jp/publication/j/DP/dp2008_j02_c2.pdf
参考:季刊社会保障研究 第44巻 第2号
特集:障害者の自立と社会保障
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/sakuin/kikan/4402.htm
京極氏の記述スタイルおよび立論や論理展開に対する疑問・反論は、北野氏が細かく指摘しているので、そちらを参照してほしい。
この問題については、そのうちきちんとフォロー・分析して論文にしたいと思っている(諸事情で、何年後になるかはわからないのが残念だが)。
今はまだ未整理な状況だが、自立支援法については、過去に何度かブログでメモってきた。
キーワード検索「自立支援法」
http://d.hatena.ne.jp/dojin/archive?word=%BC%AB%CE%A9%BB%D9%B1%E7%CB%A1利用者負担についてのまとまったメモはたぶんこれで、この後、2年半、とくに進歩はない。
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20061111#p1
私自身は、公共サービスの利用者負担のミクロ的な問題(個々人のwell-beingやサービスの利用・消費行動についての問題)については、社会政策論(規範的・思想的な権利論・社会哲学や歴史的な考察なども含む)、経済理論(初歩的なミクロ経済学でとりあえず十分)、実証分析(ミクロ計量分析が望ましい)の3つの視点にまずは区別して議論・分析すれば見通しはよくなると思っている。公共サービスの利用者負担のマクロ的な問題は財政問題に集約されるが、それはミクロ的な問題をきちんと整理した後に行ったほうがよい。
京極論文の最大の問題は、これらの問題がすべて明確に区別されることなくまとめて議論されていることである。こういう包括的な記述スタイルによる考察・分析は、京極の学問的バックグラウンドでもあり、たびたび参照されるティトマス、ジャッジ、ルグランといったイギリス社会政策論者(あるいは社会政策論的経済学者)にも共通のものであり、基本的に細かく分割して議論していく主流の経済学にはないメリットがあることも確かだが、京極論文の場合には、さまざまな論点がそれぞれ詰められることなく拡散・融合してしまうというデメリットという形で現れていると考えられる。
時間を見つけて、それぞれの観点から、京極論文について簡単にコメントしていきたい。
続く(予定)
参考文献
福祉サービスの利用者負担―公共サービス料金の社会経済学的分析
- 作者: 京極高宣
- 出版社/メーカー: 中央法規出版
- 発売日: 2009/05/01
- メディア: 単行本
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追記:上記論文はこの本にも収録されている。