2011年から非EU圏からの学費有料化@スウェーデン
スウェーデンの大学は、現在、学部・修士過程・博士過程すべてにおいて、国籍問わずに学費は無料、さらに(たぶん)全ての博士過程の学生は一定の大学業務(授業やテスト採点など)の分担をしつつ給料も支給される(学部によって額は違うみたいだし不確かだが、今のレートで最低15〜20万円くらいはもらえるはず。業務分担が多い年にはもっともらえるみたい)という日本では考えられない好条件だが、非EU圏からの学生については、2011年入学者から学部と修士で学費が有料化される方向。これはもともと2010年から始まるはずだったものが、1年延期していた。
Foreign students to pay university fees
http://www.thelocal.se/25092/20100219/Unions slam fees for foreign students
http://www.thelocal.se/25094/20100219/Fees make competition for students more equal
http://www.thelocal.se/25100/20100219/
学費は各大学で設定できる方向のようだが、試算平均は年間9,500ドルから11,000ドルだとか。反対している学生団体の人によると(真ん中の記事)、お隣デンマークでは学費有料化によって留学生が激減したとか。
ところでEUやカナダ(アメリカやイギリスはよく知らない)は大学院生(博士課程)は給料やstipendをもらえることが多いみたいで、日本では(ガクシンなどの例外を除いて)そんなことはない、というと「みんなどうやって生活しているの?」とよく聞かれるが、実際どうやって生活しているのだろう。私が日本で修士学生だったころはバイトと借金(from学生支援機構)主体だったが、修士・博士とずっと学生支援機構から借金していたらけっこうな借金額になるし(年間100万でも500万くらい)。もちろんわりと寛大な全額免除や半額免除の制度もあるけど、すべての人ではないし、その後の就職も不確かだし、結構なリスクがあるように思うのだが。きっとどこかにサーベイはあるだろう。
少し話が変わるが、日本では教育財政というと、初等教育や義務教育に注目が集まることが多いと思うが、親の家計負担を考えると、大学の教育費の存在は大きいだろうから、少子化などにも一定の影響を与えるだろう。大学院の学費設定や給料の有無がどういうインパクトを社会に与えるのかはよくわからないが、何かしらはあるだろう。あと日本の場合(とくに都心部)では塾の費用も相当なものだろうから、家計側から教育費用を考えるときにはその影響も考慮に入れなくてはならない。
育児、初等教育、高等教育、およびその間の私的教育の費用負担の違い・その要因・その影響についての研究はいずれチェックしよう。いずれ。
関連エントリ:
スウェーデンの外国人研究者の卵の労働環境
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20091215
教育費メモ
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20091128
「教育財政の社会学」あるいは「教育の財政社会学」ついでに「教育財政の経済学」
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20090717