研究メモ ver.2

安藤道人(立教大学経済学部准教授)のブログ。旧はてなダイアリーより移行しました。たまに更新予定。

「LIKTEN」編集長・小田明志(18歳)インタビュー+shing02+Nujabes

ちょっと前に読んで印象に残ったインタビュー。

幻冬舎ツイッターもUSTもクソ!クソみたいな大人たちへの挑戦状!!〜「LIKTEN」編集長・小田明志(18歳)インタビュー(前編・後編)
http://webmagazine.gentosha.co.jp/fusianasan/vol223_index.html
http://webmagazine.gentosha.co.jp/fusianasan/index.html

面白い。自分が高校生のころにはこんな鋭さは皆無だったな。今もだが。私の弟は福田和也ゼミだったので、なんというか、こういうカルチャーの人たち(大雑把なくくりですみません)の話とか考え方について何度か話をした記憶がある。正直、私にはこっち系の人々(大雑把なくくりですみません)の持つ独特の感性というか感度は全くないなのだが、こういう系の人たち(大雑把な以下略)は、人文社会系の議論をかじっていることが多いので、話の共通点はある。ただし、物事の評価軸はぜんぜん違うかもしれない。

ところで、彼の雑誌のテイストは、80%がshing02の影響だという。

──最近共感する人や尊敬する人は誰かいますか?

小田 尊敬する人……ラッパーのshing02さんかな。

──どういうところを尊敬してます?

小田 彼は社会派っていうか、政治とか社会に非常に興味を持っている人ですけど、それをヒップホップに落とし込んでるんですよね。政治って四角くってカチカチなものじゃないですか。僕みたいなバカにはそんな堅いものは飲み込めないんですよ。でもshing02さんはそれを噛み砕いて柔らかくして、僕たちでも飲めるようにしてくれてる。しかも飲んだ後に心の中でまた固まるというか。だからそのやり方っていうのは「LIKTEN」に込めた部分なんですよね。政治というテーマを、イラストを入れて原色ベースでデザインしてグニョグニョにして飲ませると。そういうやり方は彼から学びましたし、「LIKTEN」のテイストの80%は彼の影響ですね。

(上記インタビューより抜粋)

私はヒップホップに全然詳しくはないのだが、ここ1年くらい、とにかくNujabesばかり聴いていたので(かといってjazzy hiphopをよくわかっているわけでも全くない)、彼との共同作品も多いshing02のこともたまたま知っていて、過去に彼のサイトのエッセイを読んだりしていた(詩はたぶんよくわからないのでスルー)。印象に残っているのは以下の四つのエッセイ。このブログを読む人の気をひくためにいっておくと、shing02はカリフォルニア大学バークレー校卒という点で知的エリートです。

アメリカを、知りたいか?
http://www.e22.com/shing02/writing/csws.htm

ジャズ
http://www.e22.com/shing02/writing/jazz.htm

健康な心とはどんな状態?(MIND OVER MATTER)
http://www.e22.com/shing02/writing/cazi/cazi_03.htm

いま生きてるかんじ、どんな時に思う?(STAYING ALIVE)
http://www.e22.com/shing02/writing/cazi/cazi_04.htm

shing02 ウェブサイト(http://www.e22.com/shing02/)より

最後の二つなど、川口さんの大宅賞受賞作品のメッセージと通じるところもありそう。

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

逝かない身体―ALS的日常を生きる (シリーズ ケアをひらく)

やっと届いたので、一気に読んだ。素晴らしかった。専門書以外の本を(あまり)とばし読みせずにちゃんと読んだのはとても久しぶりなような。

いずれにせよ、Nujabes急逝はほんとうに残念でならない。ギター少年時代はレッド・ツェッペリンのライブに行くという叶いもしない夢を見たけど、生Nujabesも叶わぬ夢となってしまった。


歌ってるのがshing02


関連エントリ:
訃報:Nujabes
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100318#p2

川口有美子さん『逝かない身体』が大宅賞受賞!!
http://d.hatena.ne.jp/dojin/20100405/p1